ありえない!? 三食しっかり食べても栄養失調なんて
「新型栄養失調」という言葉、聞いたことはありますか?
“飽食の時代”と言われて久しい我が国で、栄養失調なんて言うと奇異に聞こえるかもしれません。
実は最近、若い女性から高齢者まで年齢を問わず増えていて、意外と大きな問題になりつつあります。
この新型栄養失調って、いったい、どういう状態を言うのでしょうか?

食べるものによる部分的な栄養不足でこんな症状に
普通の生活を送っておなかいっぱい食べている。
なのに、なぜか元気が出ない。いつも体がだるい。憂鬱が続く。
あなたは、そんな状態ではありませんか?
新型栄養失調とは、昔のように単に食べるものが不足して起きるものとは異なり、栄養バランスの悪さによる部分的な栄養不足が引き起こす体調不良。
自分では普通に食べているつもりだし、摂取カロリーや食事回数などは足りていると考えられる。
むしろ、カロリー過多傾向で太っているぐらい。
それなのに、血液中のタンパク質の6割程度ある「血清アルブミン」という物質が低下していて、身体に変調が起きる。
そんな現象を指します。
意外と怖い“ちょっとした体調不良”
たかが体調不良を栄養失調とは大げさじゃない?
そう侮ってはいけません。
タンパク質やミネラルが不足すると、糖質やタンパク質の代謝が抑制され、筋修復(筋グリコーゲンの回復)などが、きちんと行われなくなります。
そうなると慢性的な疲労状態に陥ったり、筋力そのものが落ちたりするのです。
人間は、加齢とともに筋量が落ちていきます。
筋量の低下によって基礎代謝が低下し、肥りやすい体質になってしまうだけでなく、心肺機能の低下にもつながるのです。
これが活動パフォーマンスや生活の質の低下に直結し、ますます動くのがしんどくなって…… といった具合に、将来的にわたっての悪循環に陥るのです。
こうなるとロコモティブシンドロームやフレイルと言われる状態です。
ロコモティブシンドロームとは、運動器系が衰えて、要介護になるリスクが高まっている状態を指す言葉ですが、それは加齢によるものだけではなく、食生活、生活習慣が大きな要因と考えられています。
また、筋力や心身の活力が低下した状態はフレイルと定義(日本老人医学会によって)されていて、これも最近言われるようになってきました。
たとえば、お年寄りが、足などをくじいて寝込んでしまうと、歩けなくなり筋力が低下。
活動量が低下しますから、食事の量も少なくなりがちですよね。
そうなると慢性的に栄養状態が悪化していきます。
それによりさらに筋力は低下し…… やがて寝たきりに。
「普通」の食生活で起きる新型栄養失調が、そういった状態を加速させているかもしれないのです。だるい、疲れるとこぼすお年寄りは意外と多いですよね。体調不良には何かの原因が必ずあります。
老化は誰にでも起こるもの。
それに打ち勝って健康を維持できるかどうか。
日々の食事と筋肉量がカギを握っていると思いませんか?
精神疾患にもつながる?
肉体的疲労がないのに疲れているような、沈んだ感じ、無気力、脱力、頭痛に不眠。
仕事や人間関係などで悩みがつきまとい、いつもどんよりとした気分で元気がない、体がだるいといった自覚症状がある。
原因が分からない体調不良と気分の不調を感じていませんか?
これは近年急増しているうつ症候群の症状。
最近になって、うつ症候群の多くが脳の栄養不足による可能性が指摘されはじめています。
糖質に偏った食習慣が原因で起きる低血糖症。
肉類の不足が原因で鉄欠乏。
精製食品、加工食品が原因によるビタミンB群や亜鉛の欠乏。
タンパク質欠乏によって、さまざまな神経伝達物質の低下につながっている。…など。
アメリカでは一般的な分子整合栄養医学によるものですが、これらは、通常の血液検査では見つけづらいうえに、国内では一般的ではないため、見過ごされていることが多いようなのです。
精神性疲労やうつ病の原因は現段階では正確には解明されていません。
しかし精神疾患の一要因が脳の栄養不足だと考えると、糖質の摂りすぎによるカロリー過多とタンパク質不足という点では、同じように増えている新型栄養失調と重なる部分があるように思えるのです。
ビタミン・タンパク質・ミネラルを朝・昼・晩しっかりと
新型栄養失調は、基本的には栄養摂取習慣、つまり食生活に気を配ることで回避可能のはずです。
まず、消費エネルギー(基礎代謝含む)分だけは、きちんと摂取できているのかをチェックしましょう。
自然に体重が減少する傾向にある場合は、まず摂取カロリー不足の疑いがあります。
合わせて、体たんぱく質の分解が進み、筋量が減少状態にあると考えられます。
ふくらはぎを触ってみて、細くなっているなら要注意です。
次に摂取内容ですが……。
筋肉や骨格といった体組成を構成するタンパク質(つまり肉魚類)は摂取できているでしょうか?
お肉を食べると太る、魚は面倒くさい、卵はコレステロールが……と言って避けていませんか?
さらに摂取したタンパク質や糖質の代謝が、きちんと行われるためのミネラルやビタミンB群(B1、B2、B6)については、どうでしょうか?
ちなみにビタミン群は、
- B1~胚芽、ごま、落花生、レバー、豚肉
- B2~レバー、うなぎ、牛乳、卵、肉、魚
- B6~かつお、まぐろ、さけ、さんま、牛レバー、バナナ、鶏肉
などの食材から摂取できます。
よくある朝食メニューの、パン・野菜サラダ・フルーツ。
一見、健康的な献立のように思えるかもしれませんが、ここだけでもタンパク質が不足しています。
筋肉はタンパク質からできていますので、フレイル予防、そして骨粗鬆症予防のためにも、牛乳や卵を取り入れてみましょう。
魚、肉類、納豆などもタンパク質ですから、ぜひ毎食一品は摂るようにしたいものです。
ひょっとしてダイエットを繰り返している?
栄養摂取を制限して全体カロリーを低下させるのでなく、しっかり活動して栄養素をバランスよくきちんと補給しないと、高確率で新型栄養失調による体調不良に陥ります。
楽しく元気に毎日を送るための食生活。日頃から、なんとなく体調不良を感じているとしたら、少し見直してみる必要があるかもしれませんよ。

